とくしカフェ(ブログ)
【質問回答】肢体不自由児の心理生理病理(令和8年度免許法認定講習)
2026年7月26日(日)に免許法認定講習で肢体不自由児の心理生理病理の講義を行いました。
書籍の紹介と医療的ケアについての質問への回答をこちらに書きます。
★重症心身障害児・者の理解を深めるおすすめ書籍
重症心身障害児・者の支援では、わずかな表情や視線、姿勢、呼吸の変化など、一人ひとりの「表出」を丁寧に読み取り、その意味を理解することが重要です。今回は、実態把握や授業づくり、コミュニケーション支援を学ぶ上で参考となる2冊をご紹介します。
『重症心身障害の子どもの実態把握ガイド ―「受止め・対応リスト」とその「評価シート」の活用』編著:徳永 豊・金城 厚
重症心身障害児の「覚醒」「注意の芽生え」「外界とのつながり」など、微細な反応をどのように観察し、実態把握につなげるかを具体的に解説した実践書です。「受止め・対応リスト」と「評価シート」を活用しながら、一人ひとりの状態を客観的に整理できる内容となっています。教育・医療・福祉の現場で実践的に活用できる一冊です。
詳細はこちら
https://www.keio-up.co.jp/book/b10165760.html?utm_source=chatgpt.com
『重症心身障害教育ハンドブック ― よりよい授業のための基本』著:徳永 豊
重症心身障害児への授業づくりを中心に、目標設定、指導計画、教材・教具、健康管理、卒業後の支援まで幅広く解説したハンドブックです。実態把握を授業や生活支援へどのようにつなげていくかが体系的にまとめられており、これから重症心身障害教育を学ぶ方にも、実践を深めたい方にもおすすめです。
詳細はこちら
https://www.keio-up.co.jp/book/b10165880.html?utm_source=chatgpt.com
★学校における医療的ケアとは?
一定の研修を修了した教員や保育士は、法律で定められた5つの「特定行為」を実施することができます。また、ストーマパウチの交換など、特定行為には含まれないものの、自治体や施設の運用に基づいて対応されている医療的ケアもあります。そのため、「医療的ケア」と「教員等が実施できる特定行為」は同じではないことを理解することが大切です。
【学校で教員が対応できる医療的ケア】
学校では、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく第3号研修を修了した教員等は、医師の指示や学校の実施体制のもとで、次の医療的ケアを行うことができます。
① 第3号研修修了者が実施できる「特定行為」
口腔内の喀痰吸引
鼻腔内の喀痰吸引
気管カニューレ内の喀痰吸引
胃ろう・腸ろうによる経管栄養
経鼻経管栄養
これら5つは法律で定められた**「特定行為」**です。
② 学校や自治体の運用により教員が対応することがあるもの
次の内容は特定行為には含まれませんが、自治体や学校の体制、医師の指示書、個別の実施計画などに基づき対応されることがあります。
胃ろうボタンの接続・取り外し
ストーマパウチの交換
パルスオキシメータの装着・測定
てんかん発作時の救急薬の投与(坐薬・頬粘膜投与薬など)
内服薬・吸入薬の介助
※実施できる範囲は自治体や学校によって異なります。
③ 日常生活の支援として教員が行うことがあるもの
医療的ケアそのものではありませんが、学校生活を支える支援として行われることがあります。
ストーマ周囲の清潔保持や排泄物の処理
酸素ボンベの残量確認や運搬
医療機器の見守りや日常的な管理補助
医療的ケア実施時の児童の見守りや環境整備
④ 原則として看護師・医師が実施するもの
次の医療行為は、原則として教員が実施することはできません。
導尿(間欠導尿)
留置カテーテルの管理
人工呼吸器の管理
気管カニューレの交換
酸素流量の変更
血糖測定
インスリン注射
ネブライザー吸入
また、気管カニューレの交換は通常、医師が実施します。
【ポイント】
医療的ケアには、「教員が研修を修了すれば実施できるもの」「学校や自治体の運用により実施するもの」「原則として看護師や医師が実施するもの」があります。
学校で安全に医療的ケアを実施するためには、医師の指示、保護者との連携、個別の実施計画、校内の支援体制などを整え、多職種で協力しながら子どもの学びと生活を支えることが重要です。
自治体や施設によって運用方法が異なる医療的ケアもあるため、全国一律ではなく、個別の手順書やガイドラインに基づいて対応されていることも理解しておく必要があります。
参考資料・参考サイト
以下の法令・通知・資料を参考に作成しています。
文部科学省「学校における医療的ケア」
学校における医療的ケアの基本的な考え方や通知、ガイドライン、研修資料などがまとめられています。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/mext_00706.html?utm_source=chatgpt.com
文部科学省「小学校等における医療的ケア実施支援資料 ~医療的ケア児を安心・安全に受け入れるために~」
小・中学校等で医療的ケア児を受け入れる際の体制整備や、教職員向けの具体的な支援方法について解説されています。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1340250_00002.htm?utm_source=chatgpt.com
文部科学省「学校における医療的ケアの今後の対応について(通知)」
学校における医療的ケアの基本的な考え方や、特定行為以外の医療的ケアへの対応、生活援助行為の考え方などが示されています。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1414596.htm?utm_source=chatgpt.com
e-Gov法令検索「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」
医療的ケア児支援の基本理念や、国・自治体・学校等の責務について定めた法律です。
https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000081?utm_source=chatgpt.com
※社会福祉士及び介護福祉士法に基づく喀痰吸引等制度、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、文部科学省および厚生労働省の通知・資料を参考に作成しています。実際の運用は自治体や学校・保育所の体制、対象児の個別の医療的ケア実施計画等により異なる場合があります。
★排泄指導おすすめ書籍
『トイレットトレーニング―自閉症、発達障害児のための』著者:マリア・ウィーラー 監訳:谷 晋二
自閉症や発達障害のある子どものトイレットトレーニングについて、応用行動分析(ABA)の考え方をもとに、具体的な進め方を紹介した実践書です。
本書では、
トイレットトレーニングを始めるタイミング(レディネス)
一人ひとりに合わせたトイレルーティンの作り方
衣服の着脱や排泄の自立を促す工夫
コミュニケーションの支援方法
外出先や学校など環境が変わった場面での対応
夜間の排尿や失敗への対応
よくある困りごとと具体的な解決方法
など、家庭だけでなく保育・教育現場でも活用できる内容が豊富に掲載されています。
特に、「失敗を減らす」ことだけを目的とするのではなく、子どもの特性を理解しながら成功体験を積み重ね、自立につなげていく支援が具体的に紹介されています。