とくしカフェ(ブログ)
性同一性障害について学びました
特別支援学校の教員免許取得を希望する学生を対象に開講されている「障害児の病理と生理」(担当、戸田竜也講師)では、性同一性障害を研究する大学院生をゲスト講師に招き、子どもの性同一性障害の現状と学校における支援のあり方等についての講義を行いました。
講師となった大学院教育学研究科の小野垣真里奈さんは、性同一性障害をはじめとする性的マイノリティについて研究を進めています。
講義は、当事者である子どもたちの声や支援へのニーズ、学校で取り組まれている支援等を具体的に提示し、演習を交えて進められました。
小野垣さんは、将来教師を目指す学生に向けて「多様な子どもたちのニーズや状況を自分の身近なこととしてとらえ、よき理解者となって欲しい」と話しました。
受講した学生からは、「当事者が自己肯定感を持って自分らしく生活できるようになるためにはどうしたらよいか」「インターセックスについて詳しく知りたい」「特別な配慮をする上で、学校の障害になっているものは何か」等の質問が出されました。
文部科学省は、2015年4月に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という通知を出し、具体的な配慮事項等をまとめ、学校における適切な対応を求めています。
釧路校では、後期開講の「特別ニーズ教育」という授業でも同様のテーマを取り上げ、さらに学びを深める予定です。
7月11−12日に北海道特別支援教育学会が開催されます
大会2日目には、プロジェクト報告を兼ねたシンポジウム(ドイツと北欧におけるインクルーシブ教育の最新動向)を企画しています。
ドイツのインクルーシブ教育における特別支援学校の役割の変化は安井友康教授(北海道教育大学)、スウェーデンとフィンランドのインクルーシブ教育は是永かな子准教授(高知大学)から報告があります。ほとんど毎年のように現地視察・調査を継続してきた両者からの報告ですので、充実した内容になりそうです!
千賀 愛(司会)
夏のイベント 障害のある子どもともきょうだいのキャンプ
釧路校では、毎年 釧根地区ADHD/LD/PDD懇話会中標津支部(通称:どらえもんくらぶ)及び標津町保護者ネットワーク「サロンときわ」と共同して、障害のある子どもときょうだいを対象としたキャンプを行っています。
今年も日程が決まり、準備に入っています。
中標津町デイキャンプ 8/7(金) 中標津東小学校、道立夢の森公園ほか
標津町キャンプ 8/17・18(月・火) 標津町文化ホール、海の公園、サーモンパークほか
これまでのキャンプの様子は こちら から
通常学級における「気になる子ども」の理解にむけて
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七木田敦著
特別支援教育のプロが通常学級の気になる子の「困った」を解決します!
Gakken
定価 本体1500円
2015年6月発行
学校、教室で出会う「気になる」子どもの事例をわかりやすく紹介しながら、対応方法についての具体的なヒントがたくさん提示されています。
学研の紹介サイトへ
クライミング・ランドのぼのぼ
札幌校にウォールクライミングが設置されました!
しかし、私はクライミング初心者・・・お子さんと安全にクライミングを楽しむため、
設置していただいた会社の方が運営している「クライミングランドのぼのぼ」に体験に行ってきました(^^)
のぼのぼには小学生から高齢者まで楽しめる30種類のアトラクションがあります。
クライミングやボルダリング(手と足で壁を登っていく)、はしご登り、ボール登り、
円柱登り、綱渡り、巨大滑り台などを、スタッフがついてくれるので安全に楽しむことができます。
ボルダリングではタイムトライアルやお友達と競争などもできます!
また日常ではなかなか体験できない、高いところに登る、高いところからジャンプするという感覚はとてもエキサイティングでした♪
スタッフの方にお話を伺ったところ、
子どもたちが楽しく体を動かして、姿勢が良くなったり、バランス機能が高まったり、体力をつけるお手伝いをしたい。
いろいろな感覚を経験することで、体育へ積極的に取り組めるようになって欲しい。
災害などの非常時に、はしごや滑り台を使って非難できるようになって欲しいとおっしゃっていました。
クライミングやボルダリングは運動機能だけでなく認知機能を高める効果もあるので、
ぜひ札幌校に遊びに来ていただきたいと思います。一緒に体作りをしましょう!!
北海道教育大学札幌校:池田千紗
2015年春 釧路校の特別支援教育が変わります!
北海道教育大学釧路校では、2015年4月から特別支援教育関連の研究・教育を拡充させます。
①地域学校教育専攻に… 特別支援教育分野・特別支援教育研究室 の開設
②釧路校で取得できる免許の領域を拡大。
これまでは知的障害のみでしたが…
特別支援学校教諭(知的障害・病弱・肢体不自由) の免許が取れるように
③上記に伴い教員の増員。 阿部美穂子教授(特別支援教育)が赴任しました。
今後、この体制で学生への指導とともに、研究・地域貢献に努めます。
※詳しくは こちら
ふじのめ学級における取り組み成果(体育科ボール運動)
教科別の指導「体育科」(ボール運動系)の指導
<はじめに>
本学級児童生徒は知的な障がいとともに、運動面においてもバランスや協調運動における発達の課題があるものが多い。また、帰宅後に外で遊ぶ時間が少なく、体を動かす経験も少ない。ボールを使った集団で行う運動、簡単なルールのあるゲーム的要素の強い運動などを通して、友達と楽しく体を動かしたり、勝敗等の目的に向かって活動したりする授業等を設定してきた。
<活動の成果>
小学校では二学期に室内サッカーに取り組んだ。3人1組(攻2守1)になってゴールまでボールを運ぶ活動を取り入れたことで、友達の動きに合わせて自分の動く場所、ボールを蹴る方向、強さを子どもたちが自然と学ぶことができた。
また、児童によって「ボールを追う、蹴る」「ゴールに向かって蹴る」「ボールの行き先に合わせて動く」「周りの動きを見て自分の動きを考えて取り組む」など、ねらいが様々であるが、活動を複線化することでどの児童にとっても充実した活動になり、実際にサッカーの技術も向上した。
この運動が三学期に取り組んだ室内ホッケーでも「ゴールへ向かう」「同じチーム(相手チーム)の動きを見る」などチームで行う運動として一人一人の動きに変容がみられた。実際に児童生徒は技能の向上を体で感じているようで休み時間にもサッカー、ホッケー、野球など友達を誘って遊ぶことも増えている。
<コメント>
本取り組みは、体育授業における集団ゲームにおいて、室内用サッカーゴールを活用したものである。「専用の用具」を用いることで、児童・生徒のゴール(目標物)を視覚的に提示するとともに、活動へのモチベーションを高めることにつながっている。さらに方向性を意識した学習にもなるなど、今後の特別支援教育おける体育指導に関し、参考となる情報を提供することができたと考えられる。
(コメント:札幌校・安井)
報告:金澤恵美(北海道教育大学附属札幌小・中学校ふじのめ学級)
平成26年度 附属学校研究支援経費による研究
クライミングウォールと筑波大学の皆さん
ちゃんと順番を守り、自分で安全確認。
動きを工夫して日頃は意識しない身体の隅々まで使い次の目標に移動。
楽しい活動には学びがいっぱいです。
そして、筑波大学でアダプテッド・スポーツ研究を行っている皆さんが、活動の視察に来られ、賑やかな一日となりました。
明神もと子名誉教授の新著「どんなに障害が重くとも」刊行
北海道教育大学名誉教授で、釧路校において長く特別支援学校教員の養成にあたられた明神もと子先生の新著「どんなに障害が重くとも―1960年代・島田療育園の挑戦」が大月書店から刊行されました。
1960年代、まだ障害のある子どもたちに就学が保証されていない時代。重症心身障害児施設がつくられ、すべての子どもの就学保障にむかって、療育の試みがなされた萌芽期でした。その10年間に島田療育園が果たした役割は何であったか。
当時、島田療育園に勤務し、「重症児の父」と呼ばれた小林提樹先生とともに療育にあたった明神先生が実践的・理論的に問い直し、今日的課題を提示します。
目次
2 島田療育園の誕生
3 島田療育園の光景
4 重症児の幸せとは
5 守られなかった子どもたち
6 重症児の発達をどうとらえたか
7 重症児の医療と介護
8 療育条件と実践
9 学習と生活の指導
10 重症児の医療・福祉から教育へ
本書の詳細は→ こちら
道徳の教科化によって、いじめや差別は減るのか
文部科学省は、中教審の道徳に係る教育課程の改善等についてのパブリックコメントを3月5日まで募集すると発表しました。学習指導要領の改定案を確認したところ、差別やいじめをなくすために、公正・公平を強調するという抽象的な内容であり、まさに差別やいじめの対象になりやすい障害の問題が全く言及されていませんでした。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/02/1354944.htm
また、日本と他国といった単純な区分が、すでに様々な民族・文化をもつ子どもが学校に通っている現状と乖離していることから、多文化教育の視点も必要ではないかと思いました。
そこで、先ほど以下のような意見を文科省に送りました。道徳の教科化は疑問の余地が大きいのですが、学習指導要領の改訂は規定路線ですので、少しでも改善されることを望みます。
(北海道教育大学札幌校:千賀愛)
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道徳の教科化にあたり、以下の2点を要望いたします。
小学校・中学校学習指導要領案(第3章 特別の教科 道徳)
(1)主として人との関わりに関する事に「障害者」も内容に含める事
いじめの対象になりやすい子どもとして、障害やその疑いのある子どもがターゲットになり、不登校になっている現状があり、より効果的に差別のない社会を目指すのであれば、差別対象になりやすい障害を扱うことが有効です。例えば、小学校低学年では、身近な障害として、高齢者に多い視覚障害と聴覚障害、小学校中学年では身体障害をとりあげ、高学年では自閉症や知的障害を取り上げることなど、発達段階に応じて障害の種類をとりあげることも可能です。
参考図書として「小学校・中学校・高等学校における新しい障がい理解教育の創造」(富永光昭著、福村出版)があげられます。
教育基本法第4条2「国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない」とあり、学校教育でも障害を理解するための教育が必要です。
また2014年に日本が批准した国連の障害者の権利条約においても差別撤廃は必須となっており、学習指導要領に位置づける事が重要です。
(2 ) 主として集団や社会とのかかわりに関する事に、日本国内の先住民族であるアイヌ民族や在日韓国人、ブラジル人、中国人など、子どもにとって身近な存在である様々な文化をとりあげることが国際社会における日本人の育成に不可欠と考えます。
日本と他国という単純な二元論ではなく、日本国内に様々な民族・文化を背景にした人々が暮らしていることを子ども達に伝える事が、多文化社会を理解する上で不可欠と考えます。